みなさんは備蓄米を購入したことがありますか?
お米1袋(5kg)あたりの金額は、2024年4月の全国平均2,228円から上昇を続け、2025年4月には全国平均4,543円と約2倍以上になりました。
そのような中、随意契約で売り渡された政府の備蓄米が5月31日から一部の小売店で店頭販売を開始しました。
価格を抑えた備蓄米を広く行き渡らせることで、高騰が続く米価の下落につながるかが今後の焦点です。

そもそもメディアで報じられている「古米」や「古古米」とはどのようなものなのでしょうか。まずはお米の種類を押さえておきましょう。

新米:その年の秋に収穫されたお米(収穫から概ね3ヶ月以内)

古米:収穫から1年以上経過したお米

古古米:収穫から2年以上経過したお米

古古古米:収穫から3年以上経過したお米

今回の随意契約による備蓄米の売り渡し対象は、令和4年産(2022年産)20万トンと令和3年産(2021年産)10万トン、合計30万トンです。
契約を結んだ一部の事業者は5月31日から店頭で通常のブランド米の価格の半分程度、具体的には5kgあたり約2,000円で販売を行いました。


販売されたお米は「古古米」、すなわち収穫から2年が経過したものです。
食用として問題はありませんが、味や風味は確実に劣化しているという指摘があります。
新米特有の甘い香りは薄れ、やや古米臭を感じることもあります。また、甘みや旨みが減少し、味にぼやけた印象が出やすくなります。
食感についても粘り気が弱まり、ややパサつきを感じることが多いようです。


さらに、今後は収穫から3年以上経過した「古古古米」も販売に回される可能性があります。
古古古米は通常、飼料用(家畜のエサ)や加工用(米粉、焼酎、せんべいなど)として利用されることが多く、一般家庭でそのまま食べることはあまり推奨されていません。


このように、備蓄米の購入は向き・不向きがあります。
では、どのような人が備蓄米に向いているのでしょうか。


備蓄米購入に向いている人
食費を抑えたい人
→ 5kgあたり約2,000円前後で購入できるため、家計にやさしい。

味よりも量や価格を優先したい人
→ 毎日の主食として大量に必要な場合や、とにかく安く国産米を手に入れたい方に最適。

備蓄米購入に向いていない人
毎日ふっくらとしたご飯を食べたい人
→ 古古米は粘り気が弱く、モチモチ感が乏しいため、新米のような食感を求める方には不向き。

食にこだわりがある人
→ 特定の品種やブランド、新米の香りや甘みを重視する方には、物足りなさを感じる可能性が高い。

「古古米」は決して「悪い米」ではありません。適切に保存し、炊飯や調理の工夫をすれば、日々の食卓にも十分活かせる立派な資源です。

これからはさまざまな価格帯のお米が並ぶことが予想されます。お米を選ぶ際には、ぜひ一度「古古米」も選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。
                 (土橋)

「ん?何かこの麺変だな?」
会社のお昼休憩で立ち寄った某中華料理チェーン店のラーメンを一口食べて、なんとなく違和感を覚えました。
麺が固いような、弾力がないような…。

気のせいだろうと言い聞かせ二口目を食べてみると、やっぱり変です。麺が全然茹でられていないのです。

「いや、もしかしたら今日の私の味覚が変なのかも…」
クレームなんて言い馴れていない小心者の私は、慎重に状況を整理します。
・注文してから商品が出てくるまで、体感的には5分程度とかなり早かった。
・麺に箸を通してみると、麺同士がくっついている。
・舌に粉っぽさが残り、麺に弾力がない。

麺が所定の時間茹でられていないと判断するには十分な「物的証拠」と「状況証拠」があると思い、これは商品を新しいものに取り替えてもらっても問題ないだろうと判断し、店員さんを呼んで、私の違和感を伝えました。

店員さんは「大変申し訳ございません。すぐに新しいものとお取替えいたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか?」と、これ以上ない迅速な対応をしてくださり、新しい商品は6~7分程で手元に届きました。
再度ラーメンを口にしてみると、いつもの食感と美味しい味で安心しました。

2~3分後、店員さんが「お味は大丈夫でしょうか?」と再確認してくださり、退店時も「大変申し訳ございませんでした。またお越しくださいませ。」と丁寧な対応。
クレーム対応としては素晴らしい対応だったのではないかと思います。

ただ一つ、最後までモヤモヤを拭い切れなかった点があります。
「結局、最初のラーメンは商品として正解だったのか、不正解だったのか?」

食べ物の好みは人それぞれですし、味覚はその日の体調で変化したりするものだと思います。大抵の人は自身の好みを理解して注文しますし、仮に好みの味でなかったとしても、「失敗したな~」とか「口に合わなかったな~」と、店側に責任を求めるようなことは無いのではないかと思います。但しそれは、出てきた商品が正解(適合品)だった場合です。

十中八九、今回のラーメンは基準とする品質から外れた不適合品だったと思いますが、顧客の思う不適合品と、お店の決める不適合品の範囲は、いつも一致するとは限りません。近年は行き過ぎたクレームが「カスハラ」として問題視されていますが、商品交換はどこまでが行き過ぎない、許容範囲だと考えられるのか…。

今回、お店側から「不適合品でした」と事実を確定する報告が無かったことと、発生原因について言及が無かったことに、ちょっぴりモヤモヤが残りました。


さて、こういった飲食店のようなサービス業に限らず、人を相手にしている商売であればどこにでもクレームは発生し得る問題かと思います。

クレーム対応で押さえておくべきポイントは以下の通りです。
1.挨拶・謝罪
2.傾聴
3.事実調査
4.対応策の検討
5.謝罪・対応策の伝達
6.結び

今回、恐らくお店側で内部的に行われていたであろう3~5の一部がこちらに伝達されてこなかったことが、問題なのではないかと思います。
事実調査を怠って顧客との間の認識を誤ってしまったり、下手に事実を隠そうとしたり、また対応策を伝えないことで、誠実さに欠ける印象を与えてしまうことにも繋がりますし、二次クレームに繋がる恐れもあります。

何だかこの文章を書いていて、たかがラーメン一杯でネチネチと嫌な奴だなあと自分でも思ってしまいましたが、サービスを受ける側(クレーマー側というと変ですが)になってみて、顧客対応についてふと気づかされた良い経験だったと感じます。
皆様の日常業務や社員教育に少しでも参考になりますと幸いです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。
(柴沼)

本日もお邪魔いたします。

最近、「知識」と「知性」について興味を持つきっかけがあったことからいろいろと文献学習をしています。

きっかけは2025.4.23に配信した「政治と学問の自由」でふれた、「「学問の自由」かけた抵抗 ハーバード大学は補助金凍結に耐えられるか」という4月19日、毎日新聞の記事です。

ここでトランプ大統領が主張していること(書簡で通達)は、カリキュラム改訂や入学制度改革、多様性・公平性・包摂性(DEI)慣行の撤廃など連邦資金に関係する要求を列挙したものだったそうです。

いろいろ調べてみると、その推移を東洋経済の「トランプ政権の大学攻撃の本質と大学の矜持(上・中・下)保守派の長期戦略の一環、リベラル派の最後の砦に迫る」中岡 望著でまとめて読むことができました。抜粋して追ってみましょう。
https://toyokeizai.net/articles/-/873155
ただし、少々長いので年代を追っての詳細は最後段に記しておきます。

始まりと直近を抜粋すると、
・トランプ政権の大学自治への干渉は突発的なものではなく、保守派が長い時間をかけて練り上げてきた戦略の一環
・1992年8月の共和党全国大会で評論家のパット・ブキャナンがブッシュ大統領(父)の共和党候補選出を歓迎する演説を行い「ブッシュはユダヤ・キリスト教の価値と信念を代表する人物である」と礼賛。女性の中絶権を認めた1973年の最高裁の「ロー対ウェイド判決」破棄を主張。
から始まり、
・(2025年)4月8日に教育省がコーネル大学への助成金7億5000万ドルを凍結したと発表。
・(2025年)4月15日にはプリンストン大学も研究助成金2億1000万ドルを凍結された。
・教育省は、(2025年)2月5日の「女性スポーツから男性を排除する」大統領令に基づき、3月19日、トランスジェンダーを女子水泳チームに所属させたことを理由にペンシルベニア大学への助成金1億7500万ドルを凍結すると発表。
*(2025年)は筆者追記。

そして科学誌「ネイチャー」の2025年5月23日付記事で、
・米国立衛生研究所をはじめとする国立機関からの助成金停止によってハーバード大助成金1,000件24億ドル超を失った.
と報道。

もう一つ、東京新聞の記事から引用してみましょう。
東京新聞2025年5月25日の記事、
https://www.tokyo-np.co.jp/article/407082
『「ハーバード大に日本学術会議…なぜ「学術研究」に圧力をかけるのか 「都合の悪い意見」を許せない悲しき権力 」』
によると、
『日本学術会議を2026年10月に現在の「国の特別機関」から特殊法人に移行させる政府の法案への懸念が深まっている。法案は衆院を通過したが、審議では、会員の思想信条に介入するかのような政府答弁が飛び出すなど、憲法が保障する「学問の自由」を侵害する法案の性格が浮かぶ。トランプ政権下の米国でも、政府方針と対立する大学の助成金取り消しなどの動きがある。日米で同時に進行する学術研究への圧力をどうとらえるべきか。
(中根政人、山田雄之) 』
として、
『9日の衆院内閣委員会では、法案を担当する坂井学内閣府特命担当相が「特定のイデオロギーや党派的な主張を繰り返す会員は、今度の法案の中では解任ができる。解任に該当する事由は学術会議が適切に判断すべきで、規則などであらかじめ具体的に定めておく必要があろうかと考えている」と答弁。会員の政治的な立場に干渉できるかのような見解を示した。 』と紹介しています。

さて、このような背景から、最近購入した本、斎藤孝著「知性の磨き方」(SB新書)の抜粋にて読み解いてみましょう。

「知性の磨き方」では冒頭に次の文章があります。

『「○○教徒はテロリスト予備軍だ」
「移民をわが国から追放しろ!」
「海外の生産拠点はとにかく国内へ」
近年、こうした排外主義的な主張を声高に行う指導者が、先進国・途上国を問わず世界各国に相次いで登場し、その国の大衆層から熱烈な支持を受けるようになっています。 彼らの言説は、正義は必ず自分たちの側にあり、対立する国家や民族、集団は常に不正である、と信じ込んでいる点であまり違いが見られません。 こうした指導者がもて囃される原動力のひとつに、「反知性主義」があります。』

そして、
『反知性主義は、知的な権威や良識を懐疑し、論理や論理性、科学的な裏付けを軽視する一方で、好き/嫌いなどの素朴な感情や、自分たちの主観的なものの見方に価値を置く態度のことをいいます。現代はこの反知性主義が、エリート層への不信感と相まって世界的な広まりを見せている時代であるといえます。』
と書いてあります。

さて、私たち税務会計や経営分析は「税法の『知識』」や「経営分析を行うためのフレームワークや経済学などの『知識』」をもつことが要求されます。

では、その「知識」を「正解」として他者に押し付けてよいのかという疑問を感じます。

そもそも「知識」とは「ある事柄について、いろいろと知ること。その知りえた内容」と言えるようです。

そして「知る」=認識する事と考えた場合、その「認識」には2つの特徴があると思われます。
一つ目は、「その時点で個人が認識できたこと」=そのもっと先があるかもしれず、絶対ではない。
二つ目は、そして人間はすべてを認識することは不可能。
というものです。

「絶対ではない」のであれば、そこには多様な考え方などがあり、また「やってみなければわからない」ということ、「もっと真理に向かって探求し続けなければならない」ということが求められます。

では、今回のもう一つのテーマである「知性」について考えてみましょう。

「知性」とはいろいろ調べてみると次の6つの力が求められるようです。
1.他人の感情を感じ取れる力
2.複数の視点を持てる力
3.過去の経験を活かせる力
4.柔軟に考え方を更新できる力
5.情報の取捨選択ができる力
6.自分自身の思考に気づける力

これらは「知識」を補助具として「よりよく、自らもそしてだれもがなんらかの『利益』を少しでも多く得られるために必要なこと」にベクトルが向かっているように思えます。

一方で、例えば「経営」という人間の行動においては「意思決定」をしなければなりません。「決めて実行してみる」という行動です。

当然そこには「PDCAサイクル」のような検証と是正・改善が含まれます。

しかし、先に紹介したように「反知性主義」の弱点は「知的な権威や良識を懐疑し、論理や論理性、科学的な裏付けを軽視する一方で、好き/嫌いなどの素朴な感情や、自分たちの主観的なものの見方に価値を置く態度」(前出)という弱点があります。

トランプ大統領は経営者出身です。しかしどうやらビジネスにおいては「科学的な手法」よりも、自らの信念のようなものを絶対とした経営をしてきたのかもしれません。

会社はそれでよいでしょう。

しかし、国の舵取り、それも多民族国家と言われるアメリカであろうと、その他の傾向がある国家の運営であろうと、そこには多様な考え方、生き方をもつ人々がいて、生活をしています。そして、そこで生きていくしかないという制約条件もあります。
(「イヤならこの国から出ていけ」は、そうした行動を行うために多額の借金をして他国へ出稼ぎにきている人々のことをご存じないようです。これも知識レベルの話ですが、そこから関連付けてものごとを考える知性がまだ培われていないのかもしれません)

多様性は動植物においてもその種を残すためには必須のものと考えます。

結局、単一性は滅びの道かもしれません。

「知識」は必要です。しかし、「知識を身につける事」はゴールではなくスタートではないでしょうか。そして、「知性」により、「身に着けた知識」を十二分に利用してしっかりと前へ進めることがいま求められていると思われます。

本日もお読みいただきありがとうございました。

*以下「トランプ政権の大学攻撃の本質と大学の矜持(上・中・下)保守派の長期戦略の一環、リベラル派の最後の砦に迫る」中岡 望著より、年推移抜粋。
・トランプ政権の大学自治への干渉は突発的なものではなく、保守派が長い時間をかけて練り上げてきた戦略の一環
・1992年8月の共和党全国大会で評論家のパット・ブキャナンがブッシュ大統領(父)の共和党候補選出を歓迎する演説を行い「ブッシュはユダヤ・キリスト教の価値と信念を代表する人物である」と礼賛。女性の中絶権を認めた1973年の最高裁の「ロー対ウェイド判決」破棄を主張。
・民主党の大統領候補ビル・クリントンを「同性愛者の権利運動を主導する過激派の指導者」と呼び、「この国では“宗教戦争”が起こっている。それは“文化戦争”でもあり、冷戦と同様にわが国にとって極めて重要である」と聴衆に訴えた。
・保守派のメディアやSNSはフェイク・ニュースや陰謀論を流し続け、主流派メディアを衰退に追い込んだ。
・1980年の最高裁判決で教室内での「十戒」の掲示は違憲とされたが、2024年6月、ルイジアナ州議会は教室に「十戒」を掲示する法案を可決。
・公立学校での聖書輪読などは違憲とする判決が1963年に下っているが、保守派が優勢なテキサス州やフロリダ州では聖書の授業が正規の授業として認められた。
・保守派のキリスト教エバンジェリカル(福音派)は「宗教の自由」を掲げ、非キリスト教徒に対する差別行為を正当化しようとしていて、保守派の判事が多い最高裁もそうした主張を容認。
そして、
・トランプ大統領は1月21日に「違法な差別を終わらせ、能力主義を回復させる」大統領令を出し、公立学校での「DEI(多様性、平等性、包括性)教育」を禁止。
・1月29日にトランプ大統領が出した「K-12(公立の小中高校)における過激な教育を終わらせる」大統領令を受け、教育省は、トランスジェンダーが女性トイレを使用するのを禁止するよう公立学校に命じた。
・保守派は、黒人など少数派を優遇するアファーマティブアクションのような格差是正、機会均等を目指す措置は、白人に対する“逆差別”だと主張し、粘り強く裁判闘争を継続。
・2023年、最高裁はハーバード大学が入試でアファーマティブアクションに基づき黒人を優遇し、ユダヤ系とアジア系を差別していると判断。
・それでも多くの大学はDEIに基づく入学選考、人事、カリキュラム作成を続けているため、保守派は大学のこうした制度を廃止に追い込むことに照準を合わせた。
・3月3日、反ユダヤ主義へ十分な対応をしていないとの理由でコロンビア大学との契約金5140万ドルの凍結の検討を通告、7日には助成金4億ドルを取り消したと発表。
・最終的にコロンビア大学は政府の要請に応じた。
・3月21日に「ハーバード大学に対する連邦契約と助成金の包括的な検討を開始する」と発表(契約金は2億5560万ドル、助成金は複数年で87億ドルが対象)。4月3日には、契約と助成金の継続に必要な10項目を記した書簡を発出した。さらに14日に「もし納税者の支援を受け続けたいのであれば、エリート大学は真剣に問題に取り組み、意味のある改革をすべきときである」との声明を出し、22億ドルの補助金の打ち切りを表明。
・4月8日に教育省がコーネル大学への助成金7億5000万ドルを凍結したと発表。
・4月15日にはプリンストン大学も研究助成金2億1000万ドルを凍結された。
・教育省は、2月5日の「女性スポーツから男性を排除する」大統領令に基づき、3月19日、トランスジェンダーを女子水泳チームに所属させたことを理由にペンシルベニア大学への助成金1億7500万ドルを凍結すると発表。
以上。

彌永

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