おはようございます。
引続き、事業承継に伴う経営権の分散の防止11の方法の8.よりお話しします。
8.自社株買いに関するみなし配当の特例
先代経営者から自社株式(非上場株式)を相続した後継者以外の相続人の株式を、
会社が自社株買いをすることにより、経営権の分散を防止することができます。
この場合、「相続税の申告期限後3年以内」であれば、通常の、みなし配当課税(最高所得税率45%)を適用せず、
自社株式の譲渡所得について譲渡所得課税(所得税率15%)がなされます。
9.相続人等に対する売渡請求(会社法第174条)
あらかじめ定款に定めておくことで、自社株式が相続や合併等で移転した場合、会社は自社株式の新たな所有者に対し、
会社へ自社株式を売り渡すように請求する事ができます。
みなさんの定款は如何でしょうか。確認してみましょう。
ただ、これを定款に置いた場合、後継者が自社株式を相続するときにも適用され、経営権の獲得を狙って売渡請求を行う株主が現れる危険があります。
したがって、できる限り、先代経営者は後継者に自社株式を譲渡されることをお勧めします。
10.特別支配株主による株式等売渡請求(会社法第179条)
株式会社の総株主の議決権の90%以上を有する株主(特別支配株主)は、他の株主の全員に対し、
その保有するその会社の株式の全部を自己に売り渡すことを請求できます。
ただ、この請求は「他の株主」に直接請求するのではなく、所定の様式を整えて対象会社に通知をして、対象会社が承認をし、
対象会社が「他の株主」に通知等の手続きをします(会社法第179条の2及び3参照)。
11.名義株・所在不明株主の整理
みなさんの株主名簿で、その存在すらわからない株主はいないでしょうか?また、名義を便宜上借りている存在のわかる株主はいないでしょうか?
このような名義株が相続されれば、権利関係が複雑になり、大きな損害を被ることも想定されます。
したがって、名義株がある場合は速やかな対応をしましょう。
先ず、名義株主が承諾ある場合であれば、速やか「株式名義変更に関する合意書」等の確認書を作成し、名義変更の手続きを速やかに進めましょう。
また、名義株主が承諾しない場合であれば、強制的方法による回収となります。こちらについては弁護士等に相談の上、実施しましょう。
以上が「経営権の分散の防止11の方法」でした。
今回もお読みいただき、ありがとうございます。
ここまでの詳しいお問い合わせは下記または辻 繁幸 <tsuji@daiichi-keiei.com>までお願いします。
次回からは、「事業承継を成功させる6つのアクション」その3;事業承継に伴う税負担と対策 についてお話しします。
尚、以上の文書は中小企業庁の「事業承継ガイドライン」を参考にしています。