2020年05月


 




コロナ緊急事態宣言が長引くなか、雇用調整助成金、持続化給付金などの施策がとられています。しかしここまで世界の経済循環がストップしてしまうと、この程度の支援策があっても、これまで同様に雇用を続け、経営を維持して行けるとはとても思えません。いま多くの中小企業は体力の限界を感じつつあるというところかも知れません。




 




資金面での政策支援として、日本政策金融公庫をはじめとした無利息・無担保融資が行われています。ただ無利息と言っても3年を過ぎれば基準金利の1.11%や1.36%が付くものですし、なによりも返済し続けることに自信が持てず、融資の申込みを躊躇している企業や小規模事業者もあります。




 




そこで最近、私が注目しているのが、立教大学名誉教授の山口義行氏が主張されている「永久劣後ローン」という中小企業へ資本注入するスキームです。これはかつて金融不安の時に政府が金融機関に対して行った公的資金注入と基本的に同じ考え方です。




 




この「劣後ローン」というのは返済を求めない貸付というもので、それが「永久」というものです。その代わり利息として仮に年4%にするなら、25年で貸付の回収が出来るというもので、その間に業績が回復し体力が十分になれば、いつでも返済することも出来るという仕組みです。また返済がなくても「永久」に金利が払い続けられるというものです。




 




これを地域の金融機関が間に入り、更にその債権を政府と日銀が「買取機構」をつくって買い取る形を提言されています。国がダイレクトにならず、間に金融機関が入ることで、日頃からそれぞれ地元の企業との付き合いで構築された信頼関係が目利きとしての役割を果たしてくれることになると言われます。




 




また仮に利率が2%なら回収するのに50年必要となりますが、その企業が事業承継を含めて、雇用をはじめ地域経済へ果たす貢献を考えれば、企業が無くなることよりもはるかにメリットが大きいと言われます。こうした思い切った中小企業支援策がいま求められているのです。




 




もっと言うなら、政府が仮にこの仕組みに10兆円の投資をして、そのうち1兆円が返済不能になったとしても、25年という長期の間の1兆円など、今この時期に企業倒産と失業者があふれた場合の社会保障負担と比較するなら、全く問題にならないものと言えるのかも知れません




 




こうした動きを反映してか先週20日の新聞に、大企業や中堅企業だけでなく、中小企業にも数百社を対象に、官民ファンドを活用した資本注入を検討しているという記事がありました。一歩前進というところですが、しかしこの緊急事態にあって、わずか数百社といったレベルではなく、ぜひもっと規模を広げた中小企業への支援策として検討をしてもらいたいものです。




 




まだまだ「中小企業への永久劣後ローン」というスキームが、経営者の間でも知られていないのが実態かと思います。こうした仕組みがあることを広めていくこと、そして中小企業と雇用、地域経済を守るための世論が大きくなることが急がれているという思いで、ここに紹介させていただきました。




 




山口義行名誉教授の解説動画ほか




https://www.smallsun.jp/smallsun_news/ronkou/entry-3158.html



【本日のサマリー】

・「グラン・メゾン東京」とギャルソンというお仕事

・運転士と車掌

・マネジメントって

・売上は「顧客の期待に応える」ことでまだ増える




本日もお邪魔します。




木村拓哉さん主演で、昨年の10月から放送され最終回では視聴率が16.4%と近年では高い数値をだした「グラン・メゾン東京」というドラマがありました。

ご覧になっていた方もいらっしゃると思います。




フランス料理ではホールで給仕するお仕事をする人を「ギャルソン」と呼びます。

ギャルソンとは英語で言うところの「ウェイター」さんのことです。

ギャルソンはお料理を運ぶことが仕事ですが、同時に料理や飲料の知識が求められ、給仕しながら、お客様に対してちょっとした料理や飲料の説明をします。




但し、最も重要なことは「ホールの声」(「声」だけではなく、お客様の体調なども含めますので、「お客様が発するサイン」のほうが妥当かもしれません)をシェフ(や調理場)に伝える役も担っています。




また、そのサインに合わせたサービスを提供するために、仕入れや在庫管理もします。




さて、このメルマガをご覧になっている方は私が電車・鉄道の例をよく出すことをご存知かと思います。




鉄道の運行では、鉄道そのものは運転士と車掌が組んで車輌運行を行います。

最近では(私の故郷の最寄り鉄道もそうなりましたが)ワンマン運行がローカル鉄道が増えているようですが。




さて、この「車掌」、字をよく見てみると「車(輌)」を「掌(握)」する者となります。




実は、運転士はスペシャリスト、車掌はゼネラリストと見ることもできます。




乗客や駅員とのコミュニケーションも車掌の仕事です。

急病人が出た時や、車輌が急停止した時などのその他の乗客のコントロールも車掌の重要な仕事です。




いってみれば先の「ギャルソン」と「車掌」は同様の仕事をしているようです。

(それにしても、鉄道会社の処遇はそれにリンクしていないように見えます)




グラン・メゾン東京は「ミシュランの3つ星を取ることを一つの目標とするフランス料理店の人間模様」がテーマでした。

その第8話で、ギャルソンが味付けの変更を提案した際に「ホールの声は神の声」だと、スーシェフが受け入れるシーンがあります。




読者の皆さんはマネジメントが主な業務の方が多いと思われます。




研修や本で読んで得た知識を元に戦略を練ることも大事ですが、「顧客の声」に最も近いスタッフが拾ってきた「生の声」=神の声も一つの判断材料にされることをお勧めします。




コロナ禍の影響で、社会的にはネガティブな状況にあるかもしれませんが、そこ(市場)に顧客の声が無くなることはありません。




中小企業の強みは「意思決定の速さ=フットワークの良さ」です。

スタッフが日ごろから顧客のニーズを把握し、具体的なウォンツに気づいてマネジャーへ提案する仕組み、そしてマネジャーが提案を取り入れ、大胆に方針転換が行えるならば、売上はまだ増やすことが出来ると思います。




是非チャレンジしてみてください。




今回もお読みいただきありがとうございました。



先日、お客様との電話相談での話です。



「今のところ当社は工事の延期や中止などもなく、現場で新型コロナウイルス感染症の罹患者がいなければ6月までは売上減少の可能性はないです。

また、資金繰りにも不安はないのですが先日銀行さんが来て借入の話をされましたが、借りる前提でいろいろ検討しております。」



確かにこのお客様は直近の決算でも税引前で50,000千円超の税引前利益を計上しており、法人3税で約20,000千円の納税も済ませておりますので、一見何の不安もないように見受けられます。



そこでこんな見方を話してみました、

「可能性があるとすれば、工事部材の仕入れはともかく外注先の財務状況ですよね。個人事業の一人親方や従業員5人未満の零細企業は資金力というより信用力が乏しく、銀行のフリーローンや消費者金融などは比較的借りやすいため、たまに利用されている方を見受けます。一番怖いのは今後業務量が減少し外注費の減少が起きた場合、運転資金に行き詰って夜逃げや自己破産をされるケースが考えられます。当然現場はほったらかしになりますので、一時的に現場に穴が開く可能性もありますよね。ましてや、与信管理を厳密に行なえるほど貴社の経理体制に余裕があるわけではありませんし。」



当然お客様からは「言われてみれば確かにそうですよね。どうすれば良いのでしょうか?」との反応。



「例えばですが、今回は新型コロナウイルス感染症が落ち着くまで協力会社さん(主に外注先)で希望者には各月末締翌月末払いを各月15日締20日払いと各月末締翌5日払いの月2回に変えても良いですよ。しかし1%程度の事務手数料は頂きますと一斉に通知を出してみるというのはどうでしょう?外注先が借入申し込みに行く手間も省けますし、言い方悪いですが財務基盤が脆弱な外注先がわかるという可能性もあります。」

「なるほど、そういう視点もありましたか。確かにただ借りるだけではコスト増大にも繋がりますし、社長ともよく相談して是非その方向で考えてみます。

表向きに弊社は協力会社と共に歩みますと打ち出せば当社のイメージアップにもなりますし。」



「当社のお客様の社員さんでもたまに給料の前借する方がいらっしゃいますから、その対処法でこういった方法をとった会社がありまして。」

「確かに外注先なら仕事が終わっている分ですから当社としても別に損するわけじゃないですし、金利も外注先が自己調達するより当社の方が信用力が高いから確実に安くなりますよね。」

「そうなんです。実は多くのお客様が普段利益を得る前提はこういったコストの積み重ねですが、意外と細かくは意識されていないですよね。」



外注費が多い業態での一つの視点として参考になればと思います。



 




 




 


↑このページのトップヘ